シリコンゴムとは？特徴や加工方法、用途について解説

シリコンゴムとは？

特徴やメリット、加工方法、使用用途を解説

ページ公開日： 2022-1-11

一口にゴム製品といっても、使われている材料は多岐にわたります。そのため製品用途にあった材料を選ぶことが重要であり、ゴム自体の特性を十分に把握しなければなりません。そこで、今回は、工業用ゴムによく利用されているシリコンゴムに焦点を当て、愛知県の工業用ゴムメーカー「福山ゴム工業」が詳しく解説していきます。

シリコンゴムの特徴やメリット

シリコンゴムの特徴

シリコンゴムが分類されているのは、「熱硬化性樹脂」というカテゴリです。このカテゴリには、天然ゴムなどの有機系ゴムだけでなく、ポリウレタンなどの無機物も多く属しています。

シリコンゴムは、有機と無機の両方の性質をあわせ持つ、珍しい素材です。カラーは、基本的に乳白色や灰白色などの白系であり、ケイ素の含有量によって透明度が変わります。なお、たくさん含まれているほど透明度は低く、硬度は高いです。

シリコンゴムのメリット

代表的なメリットとして、製造の工程で硬度を容易に調整できる点が挙げられます。また、シリコンゴムは優れた耐候性を誇っており、熱さや寒さの影響が少ないです。そのため、温度が異なる多様な環境下で安定した弾力を維持できます。

さらに、材料に有害な物質が用いられていないため、自然や人体に非常に優しいです。その他にも、「粘着しないので再利用しやすい」「電気の絶縁性能が高い」などのメリットがあります。

シリコンゴムの代表的な用途

シリコンゴムは、さまざまなジャンルの製品に使われています。具体的な例は、以下の通りです。

家電製品や電子部品

冷蔵庫やパソコンなど、電気を使用する製品において回路のショートは、故障の原因となります。その対策として、シリコンゴムを用いることが多い傾向です。細かな加工も可能なので、小さなサイズの精密機器にも使用できます。

医療関連や食品関連のアイテム

治療用のカテーテルや、弁当箱のパッキンなどの材料として重宝されています。適度な軟らかさと優れた衛生面を両立できるため、哺乳瓶の吸い口といったデリケートな部品にも使用が可能です。

建築資材や保護用グッズ

劣化しにくい弾力を活かし、建築時に防振材として選ばれます。軽いだけでなく、衝撃吸収にも優れているため、防災グッズの材料やスマートフォンの保護ケースに採用されています。

作業現場で使われる設備

加工の自由度と耐久性が高いことから、コンベア用ベルトなど、大きな負荷がかかる特殊な形状の製品に適しています。同様の理由で、荷重に耐えながら地面と接し続けるキャスターなどにもうってつけです。

シリコンゴムの加工方法

シリコンゴムの製造では、まず電気炉でケイ石からケイ素を取り出します。それらを集めて複数の化学反応を加えることで、成形が可能な合成樹脂になるのです。主な成形の方法には、以下の4種類があります。

射出成形	加熱によってシリコンゴムを溶かし、金型に流し込んでから冷却する方法です。工程がシンプルであり、成形のサイクルが速く進んでいくので、継続的に大量生産したい場合などに向いています。
押出成形	シリコンゴムを加熱により融解させ、その状態で金型から押し出して冷やします。押し出し自体はスムーズに行えますが、膨張しやすいため、注意が必要です。
圧縮成形	金型のへこんでいる部分に入れ、加圧しながら熱して成形します。時間や温度は、要求される仕様によって異なり、加える圧力の目安は金型の隅々にまでシリコンゴムが及ぶ程度です。
トランスファー成形	圧縮成形を改善した方法であり、試作も高い精度で行えます。シリコンゴムを軟化させ、狭いゲートから閉じた金型の隙間に押し込むことが基本です。これにより、空気がたまりやすい点や圧力が不均衡になりやすい点を解消しています。